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  私は大阪にある、幼稚園から大学まである一貫校の卒業生です。その学校が非常に水にあった私は、在学当時から、将来我が子にも、私の母校で学ばせたい、そう思っていました。「わたしが愛したあの伝統ある制服を着せたい。そしてスポーツデイでは溌溂と戦い、コーラスコンクールでは友とのハーモニーに心震わせ、始業式や終業式では、あのひんやりとした講堂の中、座り心地の悪い木製の長椅子に座り、静かな気持ちで学院歌を歌う・・・何とすばらしいことでしょう!」大学卒業後、依頼を受けた学校の季刊紙に掲載した文章です。まさにそれは当時の私の本心、私の夢でした。

しかし、私は結婚し関西を離れ、幸運にも娘は授かりましたが、私の夢は物理的に叶わぬ夢に終わりました。ただ、今でも、帰省した折、町や電車で母校の制服姿の女子生徒を見ると、胸がキュンとするものです。
しかし、最近私は「母校への思い」が、決してわが子と重ねる事のできない「叶わぬ夢」である事が、じつはとても幸せな事かもしれない、と感じるようになったのです。

私立校とは、他項目でも繰り返し書いている通り、子供が育つひとつの大きな「環境」です。もしそこが、たんに学問だけを修める場であるとすれば、家庭教師と自宅で自学・・・これでも問題はないはずです。極端な例ではありますが、やはりある意味、真実でしょう。

しかし学校とは、それを越えた、子供の成長に大きな意味を持つ世界です。人的影響、友や恩師との関わりという意味だけではなく、子供達は多くの卒業生の思いをも含めた、目に見えない「気」の中で、毎日育っていきます。当然の事として、そこで育った者にとれば、「自分の育った世界」への思いが強く残ります。そして、そういう思いは卒業してから時間が流れれば流れるほど、甘美な郷愁の感情が生まれ、思いは熟成されていくのです。

たいていの場合、そんな思いの時期に、わが子の受験、がやってきます。
そして、私学のご卒業生である多くのお父様、お母様は、「是非わが子を、母校で学ばせたい!」とお考えになるのですね。

私立受験を思い立ったご両親達は、まずはご自分達の家庭、ご自分達の教育観に合った学校探しを「0」から始めます。その頃ご卒業生である親達は、すでに「よくよくわかった環境」としてのご自分達の母校に思いを馳せます。これは自然の感情の流れでしょう。

しかし、なかなかむずかしいことを承知の上で・・・ どうぞ、ご自分の母校は「僕の母校、私の母校」として思い出の中に存在させ、まずは気持ちをリセットして、親として白紙の状態から子供の学校選びをするようにしましょう。
なぜなら、子様達がかわいそうだからです。
その学校は「パパの母校」「ママの母校」であるはずなのに、知らず知らずのうちに、親の強い母校への思いが見えない力となって子供の意識をコントロールし、「ここはぼく(わたし)も行く学校なんだよね」「きっとパパ(ママ)はぼく(わたし)にもこの学校に行って欲しいって思ってんだよね」というふうに、静かに、でも強く感じているのです。たとえ、親がそういう事を口に出さなくても、です。
しかし、やはり、そこは「その子の学校ではなく、パパ、ママの学校」なのですから。

私事で恐縮ですが、主人は早稲田の出身です。様々なスポーツでも活躍する早稲田大学ですから、息子は幼い頃から、テレビの前で父親が連呼する「早稲田がんばれ!早稲田がんばれ!」の声のなかで育ちました。ピクニック気分で、よく六大学野球の早慶戦にも出かけました。そんな我が家の息子は、かなり大きくなるまで、慶応の生徒や学生に、多少の違和感?があったものです。幼稚園の頃は、「慶応」と聞けば「パパの敵の学校だね!」としたり顔でよく言ったものです。
この例でもおわかりの通り、無垢な子供は、ストレートに、五感で「親からの強いテレパシー」を感じます。そういうことを十分に理解し、出来る限り「白紙」の気持ちで我が子の小学校受験に臨みましょう



 

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