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●私立小学校は、「環境」です
 日本では、子供が就学年齢に達すると、最寄りの市町村から就学通知が家庭に届きます。簡単に言えば、公立の小学校とは、就学年齢に達した子供達が、同じ地域に住む子供達と一緒に学ぶところです。そして、その小学校には、地域の市町村から先生が配属され、先生方は定期的に別の学校に配置転換されます。これが公立の小学校のしくみ、です。
一方、私立の小学校とは、居住地域の指定された小学校で学ぶ権利を放棄した上で、自ら希望し、その後何らかの方法で選抜が行われ、入学を許可していただく学び舎です。言い換えれば、「是非この学校で学ばせたい」という強い希望を持った家庭の子弟が集まるところであり、また、先生方も公的機関には関係なく、「是非この学校で教えたい」という意志を持って教鞭を取り、大抵が定年までの長い年月、教師生活を送ります。
このように定義してみると、同じ小学校でありながら、この2つの学び舎には、根本的に大きな違いがある亊をあらためて実感していただけるでしょう。私立小学校とは、勉学の場である以上に、敢えてそこに通う事を希望した子供達が、一日の大半を過ごす「環境」なのです。
文部省が決定する学習の基準を最低限守りながらも、実際には私立小学校は「個々の学校の方針」によって初等教育を行っています。もう何十年も前から英語教育に力を入れている学校、教科書はほとんど使わず、先生方の手作りプリントで学習を進めている学校、体力作りのためにと年中温水プールでの体育の授業を実施している学校、道徳の時間のかわりに「宗教」の時間を持っている学校、校外学習に力を入れている学校...etc. 私立の小学校は、様々な特色を備えているのです。
まだまだ、やわらかい頭と心を持った子供達が過ごす小学校は、子供の人格形成の上に、大きく影響していきます。そのことをしっかり理解すれば、そこで「勉強をする」ということ以上に、子供が「どんな子供達と」「どんな先生方に囲まれて」「どういう雰囲気の中で」日々を送るか?に、大きな意味があることに気づかれるでしょう。私立小学校は、そういう意味で「学業の場」という以上の付加価値のついた「子供達が暮らす環境」と言えるでしょう。

●首都圏だけの特殊な事情
私立小学校受験… 少子化が進む中で、年々増加する私立小学校受験人口。いったい、「私立小学校受験」とは、何なのでしょうか?
首都圏には、私立、公立ともに、大変数多くの学校があります。数多くあるからこそ「選ぶ」という選択肢が生まれてくるのですね。これがそもそも、地方とは全く違った「学校事情」が首都圏に生まれた背景だと思います。
そこに一つのものしかなかったとしたら?人は、何の躊躇もなく、それを選ぶでしょう。いや、躊躇をしたとしても、選択肢がない限り、それを選ばざるを得ない… しかし、そこに「青と赤と黄と緑…」、「AとBとCとD…」「○と□と△と・…」があったとしましょう。そして、どの色、どのアルファベット、どの印を選んでも良いですよ、と言われれば、きっとあなたは自分の好みを選ぶに違いありません。これが、「私立小学校」なのだと思います。

 しかし、これが地方であれば(一部と大都市部を除いて)、人口、人口密度的な要素から、「青と赤と黄と緑…」、「AとBとCとD…」「○と□と△と・…」ほどの選択肢はないのが現状でしょう。たぶん、そこにある選択肢は、「青と赤と黄と緑…」というような「並列の選択肢」ではなく、「1番、2番、3番…」というような、順位的な選択肢なのだと思うのです。県下一の進学校「A校」、その次が「B校」というような… そして、大抵の場合がトップに位置するのは県立、府立、道立の学校である場合が多く、「私立校」にはなかなかその栄誉は与えられていないのではないでしょうか? 
もちろん、兵庫県の灘、福岡県の久留米大附設、鹿児島県、北海道のラサール、愛媛県の愛光、京都府の洛星など、私立校にも伝統ある名門校はあります。しかし、これらもじつは小学校ではなく、中学、高校であり、名門である所以は偏差値の高さ、大学進学率の高さ、という、わかりやすい「名門のバロメーター」があるのです。

さあ、いよいよ、首都圏の私立小学校が、非常に特殊である事がおわかりいただけた事でしょう。ですから、よほどご自身が首都圏育ちで、幼い頃から「五感」で私立校というものを身近に感じていなければ、本当の意味での首都圏にある「私立小学校」の意味や価値を理解する事は難しい、という事になります。
そういう意味でも、親であるご自身の生育環境、育った背景だけをスタンダードとして、「かたい頭」と「判断の尺度」で私立小学校を理解しようとすると、大きな間違いが生じてくる… いや、理解出来ない… この事だけは理解していないといけません。

 

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