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そもそも、私立小学校って何ですか?

・ 私立小学校は、「環境」です

 日本では、子どもが就学年齢に達すると、地域の市町村から就学通知が家庭に届きます。 簡単に言えば、公立の小学校とは、就学年齢に達した子ども達が、同じ地域に住む子ども達と一緒に学ぶところです。

 そして、そこで教える先生方も、同じく地域の行政機関から配属され、定期的に配置転換があります。これが、極簡素化した公立小学校のしくみ、です。

 一方、私立の小学校とは、居住地域の指定された小学校に通う権利を放棄し、その上で、自らの希望によって、地域には関係なく、学ぶ学校を選択し、許可されてから入学する学舎です。

 言い換えれば、私立小学校とは、自分の居住地域に関係なく、たとえそこが遠くても、「是非、この学校で学ばせたい」という強い希望を持った家庭の子弟が集まる教育環境です。

 同時に、そこで教える先生方も、公的機関には関係なく、「是非この学校で教えたい」という意志を持ってそこに集まり、教鞭を取り、大抵が定年までの長い年月、教師生活を送ります。

 このように定義してみると、同じ小学校でありながら、この2つの種類の違う学び舎には、根本的な違いがある亊をあらためて実感していただけるでしょう。

 

 私立小学校とは、学業を修める場である以上に、敢えてそこに通う事を希望した子ども達が、一日の大半を過ごす「環境」であり、長い年月の間には、保護者でさえも、それぞれの学校のカラー、雰囲気が身に備わっていきます。
 文部科学省が決定する各学年の指導要領を最低限守りながらも、実際には、私立小学校の教職員、理事会等によって決定された方針を守りながら、そこでは、それぞれの特色を出した初等教育が行われています。
 たとえば・・・
* 昨今の外国語教育熱の高まりからではなく、もう何十年も前から外国語教育に力を入れている学校
* ほとんど市販の教科書は使わず、先生方の手作りプリントで学習を進めている学校
* 体力作りのためにと年中温水プールでの体育の授業を実施している学校
* 道徳の時間のかわりに「宗教」の時間を持っている学校
* 校外学習に力を入れ、頻繁に学校外での研修的な授業を行う学校 etc. 
 このように、私立の小学校は、様々な特色を備えているのです。

 まだまだ、やわらかい頭と心を持った子供達が過ごす小学校は、子どもの人格形成の上に、大きく影響していきます。そのことをしっかりと親が理解していれば、そこで「勉強をする」ということ以上に、わが子が「どんな子ども達と」「どんな先生方に囲まれて」「どういう雰囲気の中で」日々を送るか?に、大きな意味があることに気づかれるでしょう。
 私立小学校は、そういう意味で「学業の場」というよりも、学業の場である学校に、それ以上の付加価値のついた「子ども達が暮らす環境」と言えるでしょう。

 

・ 首都圏だけの特殊な事情

 私立小学校受験は、少子化が進む中で、年々志願者が増加する傾向にあります。
しかし、そもそも、人気が高くなってきた私立小学校受験とは、何なのでしょうか?
 首都圏には、私立、公立ともに、大変数多くの学校があります。まずここが第一のポイントですね。学校の数が多いからこそ、「選ぶ」という選択肢が生まれてくるのです。同じ大都市、大阪、名古屋、福岡でも、首都圏、特に東京都、神奈川県ほど私立小学校の数はありません。これがそもそも、地方とは全く違った「学校事情」が首都圏に生まれた背景です。
 もしそこに、最初から「一つ」しかなかったとしたら、人は自動的にそれを選び、それを手にすることに疑問も躊躇もありません。
 しかし、そこに「青と赤と黄と緑」、「AとBとCとD」「○と△と□と◇」があり、あなたの好きなものを選んで良いですよ、と言われたとすれば、きっとあなたは、色や形、価格、諸々のことを考えながら、あなたの「好み」によって選択肢が減っていき、最後には、一番のお気に入り、というものを選ぶに違いありません。これが、ひとつの例えとして表した「私立小学校」です。

 けれど。これが地方であれば、人口や人口密度的な要素から、これほど多くの選択肢がないのが現状でしょう。
 たぶん、そこにある選択肢は、「青と赤と黄と緑」というような「並列の選択肢」ではなく、「1番、2番、3番、4番」というような、順位的な選択肢なのだと思います。
 たとえば、県下一の進学校「A校」、その次が「B校」というように。そして、大抵の場合がトップに位置するのは県立、府立、道立の学校である場合が多く、「私立校」にはなかなかその栄誉は与えられていないのではないでしょうか? 
 もちろん、地方にも知名度の高い兵庫県の灘、福岡県の久留米大附設、鹿児島県、北海道のラサール、愛媛県の愛光、京都府の洛星、奈良県の東大寺学園など、私立校にも伝統ある名門校はあります。
 しかし、これらもじつは小学校ではなく、中学、高校であり、名門である所以は偏差値の高さ、大学進学率の高さ、という、わかりやすい「数値的な名門のバロメーター」であると言えるでしょう。

  かろうじて、ここ数年、首都圏と同様の趣を持っている私立小学校と言えば、京都の立命館大学の付属小学校、兵庫県の甲南大学付属小学校、関西学院大学付属小学校、大阪の近畿大学付属小学校、等が上げられるでしょう。しかし、これも、あくまで「大学の付属」で、人気の高い所以は、大学の付属だから・・・が主な理由であり、首都圏の私立小学校のように、小学校そのもの、小学校から高校までの一貫教育の環境として、という理由の学校は見あたりません。

 いかがでしょうか。これで少しでも首都圏の私立小学校が、非常に特殊な趣を持っている、ということがおわかりいただけたでしょう。
 つまり。比較的楽に、昔で言うところの、エスカレーター式で名門の大学に進学できるから・・・という理由が、首都圏の私立小学校の人気の高さではない、ということです。要するに、首都圏には、偏差値の高さや、大学の付属だというだけの理由ではなく、小学校そのもの、小学校から高校までの一貫校としての私立校で、格式と伝統を持った多くの学校が存在している、と言うことなのです。

 

 首都圏の私立小学校の存在意義を理解するためには、ご自身が受けた教育、育った背景だけをスタンダードとしていては、到底理解できないはずです。
 まずは、さまざまなことをリセットして・・・実際に足を運び、ご自分の五感で私立小学校を「感じて」みてください。いくつか訪れてみたら、きっと、感覚として、私がここに書いたことが理解していただけるのではないか?と思っています。

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