











「正しい受験準備」私は、そういう定義はない、と思っています。
敢えて言えば、わが子を誰よりも良く知り、愛していらっしゃるお父様、お母様が「こういう準備をすれば、きっとわが子に有益だろう」考える準備のスタイル、スタンス・・・それが、そのご家庭にとっての正しい受験準備なのだと思います。
16年前、私が熱い思いを持って幼児教室マナーズを開校した当時は「ガンガンと子どもにペーパーをさせ、泣かせてでも難易度の高い問題を解かせ、数値的な優秀さを求める、いわば詰め込み式の、訓練的要素の強い準備」が主流でした。
もしかしたら、今でも、それこそが小学校受験の準備だ!と信じていらっしゃる保護者の方も多いかもしれません。
しかし、私は開校当初から、そういう子どもに「強いる」受験準備のスタイルに嫌悪感を持っていて、機会あるごとに、真っ向からそれに対抗するメッセージを掲げてクラス作りをしていました。
「楽しく受験準備をしましょう!」それが私の提唱しスタイルでした。もちろん、今でも、私のスタンス、思いは、16年前の開校当初と何らかわりなく、むしろ、長い経験によってその意識はより強固になった、と言っても過言ではありません。
しかし、この16年間、たくさんのお子さんをお預かりし、多くのご両親にお目にかかり、最終的に今の私が到達した真理、があります。それが、まさに私がこの章の最初に書いた『ご両親が良しとする、納得のできる準備が一番正しい』というものです。
このように書くと・・・きっと、ご両親の思い、考えには、さまざまなものがあると思います。いかがでしょう?
4、5歳の子どもは、スポンジのように何でも吸収していきます。上手に教えれば、何でも覚えます。そういうこの年齢の子ども達の特性を十二分に活かし、一つできればその次、それができればまたその次・・・というふうに、どんどんと難易度の高いペーパーワークをさせていくことによって、多くの「スーパーチルドレン」が誕生しました。
大人顔負けの記憶力、小学生並みの計算力・・・などなど。こういう「凄さ」に大きな価値を認め、これこそがわが子の成長だ、とお感じになるご両親もおいでになります。確かに、これは間違いなく、その子の「賢さ、優秀さ」です。
ですから、わが子をこういう「スーパーチルドレンにしたい!」「こういう優秀さを、わが子の求める!」と思われるのであれば、やはり、こういう方法が良いでしょう。
その一方で、確かに幼い子どもの吸収力には目を見張るものがある、という亊を認めながらも、どこか心の中で、こういう難易度追求型の学習方法に少なからず疑問を感じ、「はたして、小学校受験に必要なものは、本当にこういう力なのか?」と首をかしげ・・・少なくとも、我が家ではこういう「ガンガンタイプ」の受験準備はしたくないなあ、と思われるのであれば、こういうストイックに思える準備は避けられるのが良いでしょう。
なぜなら、「親が正しいと感じ、納得しているもの」だからこそ、わが子に提供できるのであり、親が疑問に思っていることを、子どもにさせることはできないものなんですね。
要するに、もう一度繰り返しますが、大事なことは、「あなたが親として、わが子にどうさせたいか?」です。まずは、ここのところを整理してください。
いずれにせよ、一番大事なことは。子ども自身の「意識を育てること」です。
たとえば、大人でも子どもでも、「させられている」意識があるうちは、何をしていても、ちっとも楽しくないですし、効率が悪いもの・・・そうではありませんか?
もちろん、何事も、必死にがんばったり、一生懸命にやる時というものは、その時が「楽しいから」という理由とは限りません。
けれど、楽しいと感じていなくても、少し大変だなあ、と感じていても、子ども自身が「今はしないといけない時」「今はがんばらないといけない時なんだから、がんばるぞ!」という意識があれば、がんばれるものなんですね。でも、子どもにそういう意識がなければ、万事、ロボット的行動であり、いくら難易度追求型の準備して、わが子がスーパーチルドレンになっていても、その子の「真実の力」は伸びてはいないのです。
大学生くらいになった子どもでも、時々いませんか?非常に偏差値の高い中学、高校から、有名名門大学に進学した子なのに、いつも指示待ちで、言われたことしかできず、何事も楽しそうに取り組めない・・・
なぜそんな子になったのか? それは、残念ながら、その子の幼い頃から、その子自身の「やろう!やりたい!」という意識を育てることなく、常に親や先生が「させて」きたために、その子の意識が育たなかったからなのです。これでは、その子も被害者です。せっかく聡明な頭脳を持ちながら、その頭脳を使い「自分自身のために、意味ある、有意義で豊かな人生を歩むための発想や意志」を身につけさせてもらえなかった・・・私は、親の責任だと思います。
今、自分が何をすべきか?ということを自ら考えることなく、自分の意志で行動する習慣が育たなかったためにに、優秀と呼ばれる頭脳は持ったけれども、賢いと呼べる人間性は育っていない・・・とでも言うのでしょうか。
幼い子どもでも同じです。
子ども達に受験準備を始めさせる時に、あなた達は小学校受験をするのだ、ということを懇々と説明をする必要などない!と私は思っています。ただ、わが子には、「せっかく生まれてきたのだもの。あなたの頭を使って、たーくさん考えてみてよ。頭は、使えば使うほど賢くなっていくのよ。素敵でしょう!さあ、たくさん考えてみよー!」と言葉かけをしてあげれば、子ども達は嬉々として、自らの意志で何事にも取り組むように育っていきます。私の考えでは、小学校受験の話しをするのは、ずっとずっと後。考査の2ヶ月ほど前で十分だと考えています。そして、その説明も、「優秀だったら合格、できなかったら不合格」などと、親の勝手な思いこみの真実ではない説明は無意味であり、ナンセンスだと考えます。
大事なことは、どんな方法で受験準備をするとしても、必ず「子どもの意志、子どもの意識」を育てることを忘れないでいてくださいね。