











先生、私たちは、是非うちの子を、○○小学校に入れたいのです!
こういうことをおっしゃるご両親も多いものです。
「どんな準備をすれば有利ですか?」
「願書にはどう書けば目に留まるでしょう?」
「面接では何にポイントをおけば、合格しやすいでしょうか?」
このようなことを、身を乗り出して真剣にたずねられても、私には答えるべき言葉がみつかりません。
小学校受験が世の中に浸透してきた現代、「A校向けの面接対策」とか「B校の面接は~~を話すべし」など、how to的情報を与え、即席に作った人格で、A校、B校の面接に対処しなさい、という虎の巻が出てきているのは事実ですが、心を静かにして、じっくりと考えて・・・本当にそれが有利に働く、とお考えでしょうか?
真実の「あなた」がいない「一夜漬け的人格」で、志望校の先生方の前に出ていくのは恥ずしい事だと私は思います。そして何より、何百人、何千人もの子ども達を教育し、育ててこられた教育者である面接官が、そんな安直な虎の巻で仕上げた軽薄な人格を見抜けないはずがありません。
私立小学校とは、学校の希望の大小、知名度の差はあっても、確固とした教育理念を持ち、それに則り、多くの生徒達を育て、世の中に輩出してきた教育環境です。教育者である先生方、その先生方が面接官を務められる時には、「本当のあなた」を見抜く、もっともっと深い目を持っていらっしゃるものです。
あまりに熱意を持って受験の準備に取り組もうとするために、平常心を失い、心ない受験産業に踊らされるご両親は少なくありません。正しい冷静な目を持って、まっすぐに進むべきです。
でも、それでもなお、藁にもすがる思いで虎の巻を参考に、「~~しなさい」を実践したとしたら・・・?
残念ながら、人はみな、自分が思っている以上に「素直」なものです。それほど簡単に人格を変えることはできません。「~~らしく演じる」ことに成功したとしても、実際には、会って、ふた言、みこと話せば、その人の人柄は見えるものなんですね。
面接で話すお相手は教育者、です。先ほども書いた通り、人を育てる仕事をしている方達の目は、それほど節穴ではありません。
そして、話しているうちに伝わっていくその方の人柄から、ご家庭の雰囲気、お父様、お母様としての本当の思いなどは、しっかりと見えてくるでしょう。
「言葉」とは、音の羅列、音の連続ですが、人の口から発せられたとたん、真実の言葉には熱がこもり、心のこもらない、ウソの言葉には魂が宿りません。面接官である先生方は、面接の部屋に流れる「空気と温度」とでも言うのでしょうか・・・そういうすべてから、「あなた」を感じられるのです。話し方、使われる言葉、立ち居振る舞い・・・そのすべてが「あなた」ですよね。違うでしょうか?
私はいつも、小学校受験には、ちょっとした「背伸び」は大切ですよ、と話します。居ずまいを正し、良い緊張感を持つことはとても大切なことだと思います。
ご両親で熟考した末に、覚悟を持って選択した私立小学校への道。せっかく、親子ともに準備をするのです。心身共に緊張感もなく、普段着の人柄のままで向かえるところであれば、わざわざ「目指す」必要などないでしょう?親子で、真摯に向かう姿勢は、本来、私立校に対するあるべき姿です。
けれど。
どんな親も子も、100点満点など存在しません。また、満点の基準もありません。
今では、さまざまな「親」が存在する厄介な時代にはなりました。しかし、わが子の教育を真剣に考える知的レベルの高いご両親の場合は、父親も母親も、自分の思い描く理想の親像を目指しながらも、理想と現実の狭間で歯ぎしりし、時には自分の不甲斐なさを悔いたり反省したりしながら、日々の生活を送られているでしょう。そして、一生懸命にわが子を愛し、常にわが子にとっての最善の道を模索している・・・ そうではありませんか?
それで十分であり、それこそが、尊い真実の親の姿ですね。
そんな「偽りのない正直な姿」のままで、肩の力を抜いて、そして志望する小学校に対して「心」をまっすぐに向けて、真摯な姿勢で考査に臨んでください。
「自然体」がすべて、です。そういうピュアな姿で試験に臨めば、自然に「大きな力・流れ」によって、きっと一つ一つのご家庭にとって、最善、最良の道が目の前に拓けていくに違いありません!そして、拓けてくる道こそが、その家庭にとっての「最善の道」です!